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2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS 第五話 

第五話:対峙

「とにかく・・・とにかくカレンの所へ行こう」
青崎の・・・橙子さんの話が終わり、オレ達はカレンのいる教会へ行くこととなった。
「昔の知り合いがやったイタズラの後片付けを頼まれた」
この話以降、結局橙子さんがこの事件に関わる理由については触れられることはなかった。
あれだけ言っていた遠坂も、橙子さんから滲み出る異常性、いや、狂気を察したのか、もうそれ以上聞くことができなかったようだ。
今まで様々な人間を見てきた。中にはそれこそ狂気にまみれていると言える人間も山ほど見てきた。
だけど、この人は今まで見てきた人間とは根本から違う存在だ。まるで賢者のような達観した部分を持ちながら、その中に絶対的な狂人性を持つ存在。
その不可思議な存在感は、ある意味では英霊のそれと同一と言える。
「それじゃ、今から会いに行きましょうか。教会にいる依頼主の所まで」
カレンに会いに行こうと言い出したのも、また橙子さんだった。
今だショックから立ち直れないオレ達を一切気遣う様子もなく、この人は
そう言い放ったのだ。
しかし今はここで落ち込んでいる暇も無く、すぐにでも行動を起こすべきなのは確かだった。
「シロウ」
家を出ようと玄関で靴を履いていると、後にいたセイバーが声をかけてきた。
「シロウ……一体この状況は何なのでしょうか?」
その表情はとても暗く、見ているこちらが辛くなってくる。
「私は、私はもう全て終わったのだと思っていました。もう剣を握ることもないのだと、命を削りあうこともないのだと。そう、思っていました。だけど……だけどそれは幻想だったのでしょうか。幻覚だったのでしょうか。私は……私達は、今だ争いの輪廻から解き放たれはしないのでしょうか」
セイバーは今まで塞き止めていた不安を、一気にオレへと投げかけてくる。
それはセイバーが本当の信頼をオレに向けてくれているということでもあり、とても不謹慎だけれど、オレは妙にほっとしてしまった。そう、仲間は、味方はここにいるんだ。
「大丈夫だよ、セイバー。オレ達はいつだって苦難を乗り越えてきたんだ。このぐらいのこと、何ともないさ。セイバーや遠坂達がいれば」
そう、孤独じゃないんだ。この手には、まだ残っている物がある。

昼間の蒸すような暑さも、夜となれば大分やわらいでくる。庭に吹く夜風は、ちりん、と縁側の風鈴を鳴らして流れていく。
「悪い、待たせちゃって」
すでに準備をして庭に出ていたメンバー達に洗物のために遅れたオレが軽く謝る。
遠坂はこんな時に洗物なんてのん気すぎ!とは言うけども、恐らく帰るのは遅くなるだろうし、やっぱり気になるんだ。
「カレンさん・・・いるでしょうか?」
桜が心配そうに呟く。
「大丈夫だ、まだ時間もそう遅くはないし、あいつは普段出歩くことってないし」
カレンはある特異体質の影響で、気軽に出歩くことが無いのだ。だから普段はずっと教会に篭って、何かしらの用事がある時だけ外に出る。
「とりあえず、これで原因はわかるわけね。そこの女は結局はぐらかしてばかりで真相は教えてくれないしね」
遠坂は爪をきりきりと噛みながら橙子さんを睨んでいる。
その刺すような視線にも、橙子さんは意にも介さないような顔をして立っていた。
「ああ、そうだ。さぁ行こう。教会へ」
その時だった。オレ達が庭を出ようと歩き出した、その時だった。

「こんな夜更けにお散歩か?」
少女の美しい声が響いた。
それは奇しくも少し前、燈子さんと出くわした瞬間と酷似していた。
「よかった。せっかく出向いたのに入れ違いだったら悲しいからな」
それは着物を着た非常に美しい少女で、着物の上に皮ジャンを羽織るというとてもおかしな服装で正門にもたれかかっていた。
「おい、式」
橙子さんが短く、少女に声をかける。
「私はホテルで待っていろと言ったはずだぞ」
今までは見せなかった、少し不快そうな表情で、橙子さんは少女に話し続ける。
「おいおい橙子。お前だけお楽しみでオレ達はだけおあづけか?わざわざこんな何も無い所に来てやったんだ。思う存分やらせろよ」
橙子さんとは対極的に、少女はとても愉快そうだ。
「ちょっと式、今日はそういうのは無しのはずでしょ?」
少女の後ろから、男の声が聞こえた。すっと前に乗り出しその男深くため息をついて、少女の肩を叩いた。
男性は短く切りそろえられた黒髪に、黒縁の眼鏡をかけていて、そして何よりも特徴的なのが上も下も黒という服装。
よく言えば落ち着いていて、悪くいえば地味だ。
「そんなつまらないこと言うなよ、コクトー。オレがここにいて、目の前に衛宮がいる。そしてその後ろにはこいつらがいる。まるでメインデイッシュの詰め合わせだ」
少女は相変わらず興奮していて、その目はひたすららんらんと輝いている。
ふと見れば少女はいつのまに取り出したのか、ナイフを持っていた。
その鈍く光る切っ先は、まるで少女の殺意をそのまま体言しているかのようだ。
「ちょっとあんた、一体何なのよ!あんたも蒼崎の知り合いなわけ!?」
とっさの事に言葉が出ないオレの代わりに、遠坂が少女に言った。
「つれだ。今日はホテルで缶詰してくれるはずだったんだがな」
橙子さんが、目線を地面へと向けながら呆れたように呟いた。その言いようからすると、この二人はいつもそうらしい。
荒い息遣いで落ちつかなげにナイフを揺らす様をみると、そんな燈子さんの態度も非常に納得できた。
何よりも、この少女はやばい。
恐らく橙子さんのように隠すという気がないのだろう。一般人が対峙すれば卒倒してしまうであろうほどの殺気が、庭一帯を覆いつくしている。
脇を見れば、セイバーが手を何かを握っているかのように筒状にしている。と同時に、吹きつくような風を感じた。
風王結界。セイバーが持つ「王の剣」を隠すための、仮の鞘であり、通常セイバーが戦う場合に使用するものである。
「何だよ、やっぱノリ気じゃないか。誰もかれもさ」
少女が言って、口の端を歪めた瞬間だった。閃光のようなものが、目の前を通り抜けた。
正に一瞬のことで、オレは何が起こったのか理解できなかったが、脇のセイバーはその
閃光が通りすぎていくよりも早く、オレの前に踏み出していた。
つんざくような金属音が響き、少女の姿が数mほど離れたところまで吹き飛ぶ。
「シロウ下がって!」
セイバーの叫び声にやっと我に返ったオレは、反射的に後方へと飛び退いた。
それを見てか、すでに体勢を立て直していた少女が、ナイフを後ろへと引いて追撃の
姿勢をとった。
「シロウ、向こうはやるつもりです。このまま戦闘に以降します」
セイバーが足にぐっと力をいれ、バネのように前へと跳ねる。
ほぼ水平に少女へと向かう様は正に弾丸。蒼い姿の弾丸が、弾ける火薬を推進剤とするように、セイバーは少女にぶつかっていった。
「ハッ!こうじゃないとな!!」
歓喜の極みと言わんばかりに少女が叫び、またも激しい金属音が庭に響く。
弾丸となったセイバーの袈裟斬りの一撃を、少女は僅かに体をそらし、ギリギリの所で
ナイフを使って受け流したのだ。
まさか人間がこの一撃を避けれるとは思わなかったのか、セイバーが意外そうな顔を浮かべて、勢いの殺されなかった体を地面にめり込むように踏ん張って押さえ込む。
そのまま足を折り曲げ、第二撃目の攻撃へと移行する。
どうやら、セイバーはこのまま一気に力押しで行くらしい。
遠坂たちはいきなりのことに驚いているようで、後方からは「何よいきなり!」というような怒声が聞こえている。
恐らくライダーならばこのままセイバーに加勢することもできるのだろうが、桜へ被害が及ぶ可能性も考えてか、動く気配がない。
このまま援護を待つよりは力押しで一気に決めた方がいいと考えるのはなんら自然なことだろう。橙子さんとの戦いでもそうだが、相手の素性がわからず、相手が自分の情報をどの程度持っているかわからない状態では、とにかく早期決戦が有効なのだ。
それに、「通常の人間」がこの戦いについていけるとも思えなかった。
弾き出されたセイバーが、次の斬撃を少女へとあびせるために剣を引く。それと同時に、少女は体を沈みこませるように姿勢を低くした。
「な!?」
セイバーが、ありえない者を見るかのように驚愕の表情を浮かべる。
それもそのはずだ、少女は体を沈ませると、そのまま向かってくるセイバーへと飛び出したのだから。
人間が、セイバーの魔力を使用した高速接近に反応できるだけでも奇跡のような出来事なのに、次はそのまま向かってくる。
これはすでに、人間の限界を超えた行為だった。

直感的に、セイバーの動きに違和感を覚える。
遅い、派手な魔力放出によって高速で動いていると思ったが、実際のところその動きは以前よりもずっと低速だった。
セイバーが、手を抜いている。それも、通常時の半分ほどの力だ。
考えてみれば、いくら常人離れした身体能力を持った人間であろうとも、本気のサーヴァントに太刀打ちできるとは思えない。
いや、初撃程度ならば紙一重で防げるかもしれないが、次撃を完璧な体勢で迎え撃つのは、とてもじゃないが不可能だろう。
それならば、少女の反応も納得がいく。いや、それでも普通ならありえないことだろうが。
セイバーと少女とが、凶器を振るって衝突へと備える。
いや、正確にはセイバーの襲撃を少女が迎撃、というのが正しいだろう。
攻める側と受ける側、戦闘に置ける立ち居地、が傍目にも明確にわかった。
凄まじい反応速度を見せた少女も、しかしセイバーの動きには追いつけない。
飛び出したとはいえ、一息の跳躍で行ける距離はセイバーの3分の1程度だった。
このままセイバーが力押しで攻めるのならば、少女が築く防壁は、すぐに壊れ去るだろう。
セイバーが、下方から切り上げるように剣を引き、少女は合わせるようにナイフを構える。
二つの影が、お互いの体を破壊するために武器を振るう瞬間だった。
少女が、真横に倒れた。
何が起こったのか理解できず目を見開くが、すぐに理解する。
倒れるように見えた少女は、セイバーの剣の軌跡の隙間、切り上げられる残撃の隙間に潜り込んだ。
セイバーの斬撃は首を刎ねようと狙ったもの。少女は剣の動きを読み、僅かな隙間へと逃げ込んだのだ。
体が地面に密着するより先に、折り曲げた右足を支点として体を回転させ、少女は体勢を斜めに傾けてセイバーの首を狙う。
ナイフの切っ先が、大きく音を立てて空振った。

「な……!?」
確実に決まったと思ったのだろう。少女は大きく目を見開くと、コマのように右脚を地面へと突き立て、体をすれ違ったセイバーの方へと向けた。
「―――さらに加速した」
少女が苦虫を噛み潰すような顔で呟く。
そう、少女がナイフを振るった瞬間、セイバーの体はさらに加速することでその一撃を避けたのだった。
放出する魔力量を一時的に増加させて加速する。
その時点でもすでに一般の魔術師とは比べ物にならない魔力量による高速接近であったのに、さらなる加速。おまけに斬撃が当たるよりも早くだ。これは少女に対してかなりショックを与えたのか、しばし呆然とした表情で少女はセイバーと対峙する。
「く……はは……すごいじゃないか。これが英霊か」
急に少女が笑い出し、オレはびくりと体を震わせてしまった。
確実に人間を凌駕するその行為を見ながら、少女は恐れることなどしない。
ただ、華奢な体には似つかわしくない笑いを浮かべ、その身を震わす快感に酔いしれる
という風だ。
イカれてる。確実にこいつはイカれてる。
初めて英霊と対峙したとき、オレは頭の芯がしびれるような感覚にとらわれ、とてもまともな判断などできなかった。
ただ目の前に存在する確実は恐怖に怯えただけだった。
だが、この少女は違う。
悦ぶのだ。恐怖に、死の気配に、この少女は目を輝かせている。ただひたすらに、確実な狂気だった。
「いいぜおい」
瞳孔が開き、瞳の奥に怪しげな光が収束していく中、少女は言う。
「英霊だろうが神様だろうが関係ない。殺してやるよ、今ここで」
嘲笑にも聞こえる言葉に、空気が凍りつくのを感じた。
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Comment

●恥かしい話ですが…

私のしてるとこ、見てくれる人いませんかぁ~?
報酬は払います(;><)
http://lppulu.net/wata-ona/2ili6/
まい | 2008年03月17日(月) 20:33 | URL | コメント編集

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