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2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS 第三話 

第三話:再開

「美味い!これは確かに美味しいねー。うわさ通りだ」
「でしょ?このから揚げなんてもう肉汁パラダイスって感じで!」
「うんうん。家の従業員もこれぐらい作れるといいんだけどねぇ。あの子限界がパスタだからなぁ・・・」
薄っすらと空が闇に包まれる時間帯。衛宮家では青い短髪の女性と、同じく茶色で短髪の虎が仲良く意気投合していた。
戦いが終わりぐったりとうな垂れるオレ達。もはや体が限界を超えている状態。これ以上の戦闘はあまりにも危険な状態。
というか、もはや指一つ動かすのもおっくうな状態だった。
そんなオレ達に、先ほどまで命のやりとりをしていた魔術師は、「私まだ夕飯食べてなくてさ。すっごいお腹空いてんのよ。悪いけど速攻で何か作ってくれる?」
そんな悪魔のようなセリフを吐き、オレを家まで引きずっていった
結局、蒼崎はしれっとした顔でからあげをほお張っている。
あの後すぐ失神してしまったバゼットを布団に運んでから飯を作るのは、正直死ぬかと思うくらいの重労働だった。
一体オレ達は何のために戦ったのか。いや、それよりも……。
オレは怖い映画をクッションの隙間からチラッと見るような気持ちで、オレ達が飯を食っているテーブルを見渡した。
「う…おぅ…」
とてつもなく静かで、それでいてナイフのように鋭い殺気。
今、一見何でもない顔をしている食卓の人々から、とんでもない負のオーラがあふれ出している。
セイバーは平気そうに飯を食いながらも、その獲物を狩る直前の獅子のような殺気を、恐らくわざとオレ達にひしひしと感じさせている。
そして遠坂は、ニッコリとまるで凍りついたような笑顔でオレの顔を凄まじくガン見している。そりゃもうとんでもなくガン見している。
ライダーは逆に不自然なほど全くの気配を消し、黙々と飯を食べ続けている。でもその目は完全に焦点が合っていない。
そして桜はその決していいとはいえない雰囲気に、わけもわからず戸惑っている。
オレはそのあふれ出る殺気の強さに飲まれないように、すぐに視線を戻して目の前の夕飯に集中した。
「衛宮くん。悪いんだけどちょっといい?」
「は、はぃぃ!」
しかしその集中も、悪魔のささやきで唐突に遮られた。遠坂に促されるまま、オレは廊下へと出る。
「えと、遠坂、これにはワケがあって」
必死の言い訳を遠坂にしようとした瞬間、腹部に鈍い衝撃を感じた。
言い終わる前に、遠坂のボディーブローがオレのみぞおちへとめり込んでいたのだ。
「あ……くぅ…ぅ」
オレは前のめりになり、胃からせり上がる痛みと嘔吐感を必死に抑える。
その状態で遠坂の顔色を伺おうと目線を上げた瞬間、次は髪の毛を掴まれた。
「ねぇ士郎、これはどういうことなの?説明してくれる?」
先ほどまで抑えていた殺気は、開放された瞬間凄まじい重圧となってオレに突き刺さってくる。
「遠坂、本当に違うんだ」
腹部の痛みと重圧に耐えるオレには、そう茶を濁すことが限界だった。
「桜は気づいてないみたいだけど、まさか私まで誤魔化せるとは思って ないでしょ?この町に――遠坂の管轄であるこの冬木の町に封印指定魔術師がいるということが、一体魔術協会に対してどういう影響を与えるかわかるでしょ?」
「それはわかってる。でもオレが連れてきたわけじゃないし……」
そこまでいって、二撃目の拳がオレのみぞおちにめりこんだ。
「う……ごほっ」
「そんなことはわかってんのよ!そうじゃなくて、それがわかってんのに何でそいつにわざわざ夕飯作って食わせてんのかって聞いての!!」
「それは……やっぱお腹空かせている人を放って置けないし……」
その瞬間、次は股間へと遠坂の膝蹴りがキマった。
「ううぐぅぅぅぅあぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
オレは今度こそ声にならない悲鳴を上げて地面を転がりまわった。
「あんたねぇ―――本当に殺されたいの?」
痛みを必死に堪えて見ると、遠坂の指の先端が鈍く光っている。
殺される。次こそ迂闊なことを言ったら殺される。確実に。
痛みを堪えながら自身に迫りつつある死の恐怖に絶望するオレと、そんなオレを恐ろしいくらい据わった目で見据える遠坂。
と、そこでふいに声がかけれた。
「おい、そこらにしておけ。本当に死んでしまうぞ?」
眼鏡を外した蒼崎が廊下の壁にもたれ掛かりながら苦笑していた。

「で、だ。率直に、なぜ私がこの地に足を運んだのか、という所から話そう」
場所を移し、今オレ達は屋敷で遠坂が使っている部屋にいる。部屋にはオレと遠坂とセイバーと桜―――そして蒼崎。
つまり、もう帰った藤ねぇを除くオールメンバーがいた。
桜は蒼崎が封印指定だと話した所事情を察し、今は真剣な面持ちである。
昔から急なお客さんというのもそう珍しくなかったので、特に違和感は感じなかったそうだ。まー色々とある家だからなぁ。
「まず、私は君たちのことをよーく知っている。というか、魔術協会と何らかのパイプラインを持つ者に、今までの冬木で起こったことを知らない者はいないだろうよ」
青崎はタバコを一本くゆらせながら、またも悠々とリラックスした表情で話す。
そして遠坂達はその様子をさもいぶかしそうに見つめている。
「聖杯戦争。そしてその戦いの生き残り、遠坂。ま、普通ならそこまでだな。衛宮君……君のことを調べるのには本当に苦労したよ。何せ協会側の隠蔽は大変手の込んだもんだったんでな。
そもそももぐりの魔術師というのはそれだけで見つけるのに骨を折るもんだ。どいつもこいつも隠れるのだけは上手いのが多いからな。私の人脈をフルに使って調べ上げて、やっと今回の本来の勝利者である衛宮士郎の住所を割り出した。」
蒼崎はハァ~っとため息をついて携帯灰皿にタバコをねじ込んだ。
蒼崎が持つ人脈。それは魔術協会という正規の組織から追われる者にとっての物であるなら、恐らく限りなくブラックな人脈なのだろう。
「で、そこまでしてコイツのことを調べたのは何故なの?よその人間にとって、聖杯戦争は全く無関係なことでしょう?」
痺れを切らした遠坂が、オブラートに包むことなく疑問をぶつける。
「そう、そこだ。何故私がこの聖杯戦争終結後の冬木に来たのか。全ては、現在の協会側の聖杯戦争管理者であるカレン・オルテンシアからの情報提供からだった」
「カレンが……」

カレン・オルテンシア。
前回の聖杯戦争において死亡した協会側の聖杯戦争管理者、言峰の代わりに協会が派遣した冬木のお目付け役。その人間が封印指定魔術師に情報提供?何を?
「恐らく彼女もずい分と色々なことを調べたらしい。まさか協会の人間に接触を図られるとは思ってもみなかったよ。ま、協会の人間だからこそとも言えるがね。」
ダン!と遠坂がテーブルに拳を叩きつける。
「アンタの長ったらしい話はいいのよ!早く話しの要点を言いなさい!あのガキ女が流した情報ってのは何なの!!」
「まぁ待て。話には順序というものがあるだろう。せっかちな女は男に嫌われるぞ」
「何ですって!余計なお世話よ!!」
あ、それはオレも蒼崎に賛成かも。
「カレン・オルテンシアが私に話した情報。それは簡潔に言うとこういうものだった」
青崎が一息入れて。またタバコをくわえようとする。それを遠坂がぱっと奪い取り、青崎は何とも不満そうな顔をした。
「聖杯戦争が、再開する」
唐突に、不満そうな顔をしたまま青崎がその言葉を口走った。
「へ?」
オレ達は、全員が顔に?を浮かべた。
「聖杯戦争が再開する。それも、全く本来の目的による聖杯戦争だ。そして、これは決して次の聖杯戦争ではない。一切の比喩の無い、前回聖杯戦争……いや、今聖杯戦争の続行を意味する」
「そんな―――そんなバカなこと、あるはずがありません!!」
先ほどまで静観を決め込んでいたセイバーが声を荒げる。
「確かに、先の聖杯戦争で聖杯は完全に破壊されたはず。この状況でまた聖杯戦争が再開するなど、そんなことはありえないと思います。」
セイバーと同じく静観を決め込んでいたライダーも、そう言い放った。
そう、もうすでに聖杯戦争の発端である聖杯は完全破壊されたんだ。
聖杯となるはずだった一人の少女が、自ら全てを終わらせたことによって。

「それは、本当に聖杯戦争の『再開』なんですか?第五回聖杯戦争。その正式な再開であると」
若干混乱しながら、桜もおずおずと質問した。
「ああ。今回のは完全な「再開」だ。本当にまた始まった」
「ちょっと待ってよ!第一まだこの町になんの異変も訪れていないこの状況でいきなり聖杯戦争が再開するとは思えないわ!!」
全員が思い思いの疑問をぶつけていく。
無理もない、何せ急にこんなことを言われたら誰だって混乱する。
「士郎もなんか言いなさいよ!」
遠坂が矛先をオレにも向ける。オレは唐突になことに戸惑うが、すぐに気を持ち直して返答した。
「いや……オレは別に」
「何でよ!アンタだって疑問に思うでしょ!」
実は、オレはこの話を聞いてもなぜかあまり驚かなかった。何というか、確かにここ最近、どこかに違和感を持っていた。
暑い、暑い夏。ただそれだけなのに。なぜかそこに違和感があった。
「いやすでに異変は始まっている。お前たちが気づいてないだけだ」
そんな状況でも蒼崎は全く動じることなく。ただ淡々と話を続ける。
「な、なんだって言うのよ!私達が気づかない異変って!」
あまりの蒼崎の冷静さに戸惑ってか、遠坂も若干声が落ちる。
「お前ら、前回の再現が起きた事件当時、いつ頃だったか覚えているか?」
「え、確か……一年6ヶ月前……そう、一年半前の冬よ」
唐突な青崎の質問に、またも遠坂は若干押され気味に答える。
「ほう。それは確かお前らが高校2年生の冬。そしてカレン・オルテンシアらと出会ったのが翌年の10月。つまり三年生の秋だったはずだ」
「そ、そうよ」
「ほう。ならお前ら今高校何年生でそして現在は何月なんだ」
「え、高校三年生の…今は7月……え?」
あれ?おかしい。去年三年生で、何で今年も三年生なんだ?重複している。
「ほらな。お前らは気づいてない。いや、気づかないようにされている。今の現状に違和感を抱かないように仕向けられている。聖杯によってな」
「でも……でも聖杯は私達が完璧に破壊したのよ!」
そう、確かに聖杯はもう存在しな。いや、存在してはいけないんだ。
「また蘇ったんだよ。ある事情によってな。聖杯とはある種我々の常識の外にある物質だ。
完全なる奇跡の権化であるのだから、別段不思議でもないだろう?」
「そんな、バカな」
オレ達全員が、肩を落としてうな垂れる。そんな、それなら今まで過ごしてきた日々は一体どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが虚構なんだ?
「でも……それでもなんであんたがそのために冬木に?そこの説明にはなっていないわ。なんでカレンはあんたにその情報をリークしたの?それは再開の原因と関係があるの?」
遠坂は、肩を落としながらも、意思の強い瞳で蒼崎を睨みつけている。そこには、遠坂の人間としての、冬木の町を管理する人間としての責任感が宿っていた。
その瞳に、蒼崎はニヤリと不適な笑みを浮かべながら。

「何、私の知り合いがやったイタズラの後片付けを頼まれたのさ」
軽やかに、そう答えた。
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