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2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS プロローグ 

カーテンを開けるざらついた音が、寝起きの頭に無機質に届く。
まだ麻痺している頭を動かし、音のした方向を意識すると、それが隣の部屋からのものだとわかった。
ゆっくりと息を吸い、夏の湿った空気を肺へと流し込む。
どうやら今日は不覚だったらしい。いつもなら自分は30分ほど前に起きて、朝食の準備をしていなければばらない。というか、隣室にいる人物に、早起きで負けるのがイヤだ。
つまらない意地だとは思うが、この無駄に広い武家屋敷の家主として、どの住人よりも早く起きないと、という思いが、どうしても出てしまう。
そのために、最近は以前よりも30分早く起きるようにしている。以前の時間だと、どうしても他の住人の方が早く起きるのだ。一部の住人には余裕で勝利ではあるが。
のっそりと布団から起き上がると、意識を飛ばすように頭を振った。
久しぶりに取れたゆとりのある睡眠に、若干の満足感を覚える。
土蔵で寝た夜は、腰が痛くて悲惨なことになるからな。寒いし。
そういえば、昨日は懐かしい夢を見た。懐かしいと言っても、つい一年ほど前にあった出来事の夢だけど。
一つの戦争の夢。誰もが傷つき、何かを失った戦い。
その中で、オレは自分の内にある正義を貫く覚悟をした。
ほんの、一年と少しの昔だ。

はっと我に返り、思考を止めて足に力を入れ布団から立ち上がった。
急いで布団をたたみ、制服へと着替える。いつもより手際良く朝の支度が進むのは、夢のことを頭から消すためだった。
過ぎたことを色々思い出すのは精神衛生上よくないだろう。
部屋のふすまに手をかけると、ちょうど一緒のタイミングで部屋から出ようとしたのだろう、隣室から出ようとする人の気配があった。
少しばかりびっくりさせようと、出るタイミングを合わせる。
しかし、もしこの気配が気のせいだった場合、はた目から見たらとても寒い人になるのだろうなと一瞬冷静になって、情けない気持ちがする。
しかし気のせいでは無かったらしく、案の定、部屋のふすまを開けると、小ぢんまりとした同居人が部屋から出てくる所だった。
「おはようセイバー」
できるだけ優しく、朝のあいさつをする。
セイバーは自分と同時に部屋から出てきた家主に少し驚いた後、にっこりと微笑を浮かべてあいさつを返してくれた。
「おはようございます。士郎」

プロローグ:朝

「相変わらず士郎のご飯は美味しいねー!お姉ちゃんホントに嬉しい」
今日もまた、朝から虎が咆えた。
この咆哮を聞き、「いきなりどうしたんだよ藤ねぇ」と返すのもまた、家主の義務である。
「いやほら昨日は朝寝坊しちゃってご飯食べられなかったじゃない!あの焼いてない食パンを齧りながら過ごす朝……あー思い出すだけで寒気が……」
藤ねぇは自分ががさつであることを言いふらすように、聞き捨てならない台詞の数々をマシンガントークで浴びせかけてくる。
慣れてはいるものの、やはり呆れるというか、げんなりするというか、パンくらい焼いて食えよ。頼むから。
「パンぐらい焼いて食べてくださいよ、藤村先生。それと食事中は静かに」
我が家の最強生物がギャーギャーとうるさい虎に耐え切れなくなったのか、オレの気持ちを綺麗に代弁して横槍を入れてくれる。
さすがの藤ねぇもこの人にからまれるのは得策では無いと感じたのか、「ゴメン……」と呟くと静かになった。相変わらずこの人には勝てんのだろう。オレだって勝てない。
「全くです。朝の食事は一日の基礎たるもの。もっと落ち着いていただきましょう」
やかましい食卓を尻目に、セイバーがやれやれといった面持ちで言う。
うるせぇよニート。そう思うなら食費ぐらい入れてくれ。
「何やら『うるせぇよニート』という声が聞こえた気が……」
「え?そんなことないさ。ほら、ご飯のおかわりは?するだろ?」
「これはこれは、気が利きますね士郎。お願いします」
無意識に口に出ていたのだろうか?一瞬背筋がひやりと冷たくなった。
いや、このニート王ならオレの心くらいは読んでそうだ。全くもって恐ろしい限りである。
「まったく・・・士郎も藤村先生の教育ぐらいしっかりしてよね!」
朝は不機嫌な遠坂が、藤ねぇへの絡みでは物足りぬという風、ハシをビシッ!とオレの鼻先に突きつけて最強生物が叫んだ。
自慢のツインテールがふぁさりと揺れ、何やらいい臭いがする。
思わずファンシーな世界にトリップしそうになるが、しかしそんなことで我を失うようではこの家ではやっていけない。
ここは冷静に「ハシは人に向けるものではありませんよ!」と返すぐらいではなくては。
けどまぁ、オレはそんなこと言えないヘタレなわけで
「以後気をつけるよ……遠坂」
こんな、お茶を濁す程度の返事が限界だった。
こういう時、今は弓道部の臨時早朝練習でいない我が家の最強生物2がいたらいいのに
と、つくづく思う。きっと、「遠坂先輩!衛宮先輩にハシをむけないでくださいよ!!それと藤村先生のしつけは衛宮先輩の仕事じゃありません!」くらいのことは言ってくれるだろう。
そんな彼女の使い魔は今、徹夜で読書をしていたためかまだ部屋でぐっすりと寝ているけれど。

「んじゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい士郎」
今日も、ショベルカーのように朝飯を平らげたセイバーが玄関に見送りにきていた。
藤ねぇと遠坂は、両方とも急ぎの用があるからと先に出て行った。
嵐のように現れ、嵐のように去っていく。藤ねぇはもう少しおしとやかになって欲しい。
はぁ~っとため息をついた後、ふと思い出したことを口にする。
「昼飯は台所に置いてあるから、温めてライダーと一緒に食ってくれ」
今日は昼に帰って来れそうもないから、もう昼飯は用意しておいた。弁当の残り物をすこしアレンジしただけの質素なものだけど、セイバーは喜んで食べてくれる。
「わかりました。あのぐうたらが起きてくればですが……」
王様、最強のぐうたらはあなたですよ。彼女は仕事してます。
「今なにか……」
「そ……それじゃいってきまーす!」
またもや不思議読心術を発動したセイバーから、逃げるようにして家を出る。
何やら刺さるように痛い視線を背中に受けるけども、気のせいだろう。気のせいのはず。

「今日から夏休みか」
通学路にある横断歩道を渡りながら、一人空を仰いで呟く。
正確には明日からだか、まぁ終業式の日なんて休みといっしょだろう。
ただ自分は、今日弓道部のようすを見に来てくれと綾子から言われている。だから昼飯は道場でいただくことになった。
夏の大会も近いし、自分が手伝えることがあったら、何でもしてあげたい気分だ。
横断歩道を渡り終え、空を仰いだまま立ち止まり、ふと掲げた掌から太陽を透き通らせる。
指の隙間からは、境界線のない青い青い空が、オレのことを見下ろしていた。
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