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2008.03.28(Fri)

本気ラジオやります! 

暇レベルがメイリエ内限界値に達しましたので、ラジオします。

これはあれです。今までのラジオとは比べもんになんねぇレベル。

要は本気。どんぐらい本気かっていうと、なんかもうすごい本気。


ラジオタイトル:エイプリルフールだよ!全員集合!!

日時:4月1日(火曜) 夜10時~12時まで

放送所: http://sinkukawaisou.radilog.net/

実況所:http://www.mmm.ne.jp/~sousou/eva/chatmanner.html

持ち物:ガーゼ。マキロン。抗生物質。


てなわけでお楽しみに。
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EDIT  |  01:57 |  未分類  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2008.03.17(Mon)

みんな大好き! 

恒例の最低SSスレで自分の名前を見つけました。

まさか無いだろうと思ったら・・・おお・・・

普通につまらんが一番腹にきましたよ・・・そりゃもうズブっと・・・

でもこんぐらいスパっと言ってくれると逆にいいですねぇ

一回鬱になって今度は清々しくなってきました

というかオレもうちょっと原作の勉強しようよ・・・

型月厨がお怒りだよ・・・一番喧嘩売っちゃいけない人種に売っちゃったよ・・・
EDIT  |  22:16 |  未分類  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2008.03.17(Mon)

反省&改稿のお知らせ 

ども、オレです。
えーどうやらSSの方にかなり無理があったらしく、読者の方から色々とご指摘がございました。
どれも執筆においてはありがたい内容で、筆者としては嬉しい限りです。
そこで、一時ご指摘の多かった六話を公開停止にし、改稿したいと思います。(五話はちょこっと文を付け足してみました。かなり強引かもしれませんが)
よりよい作品を作れるよう努力しますので、どうぞよろしくです。

追伸:空の境界読み直してます!
    「蒼」を「青」を間違えてたのは顔から火が出るくらい恥ずかしかったです!
    ゴメンね!
EDIT  |  17:24 |  未分類  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2008.03.16(Sun)

こ・・・酷評だ!? 

どうも。メイリエです。

おお・・・リンクサイトに登録したらすごい拍手ついてる・・・

とか思ったら見事に酷評でした。ゴメンね!(AA略

でも嬉しいよ!感想ついたのとか半年ぶりくらいだよ。

つか「失望した」って書いてくれたってことは、初めは期待してくれてたんだろうか。

じゃあ期待裏切ったことになるんかなぁ・・・ちょっと気まずいぜ・・・

でもこれからも頑張って書くからねー空の境界の設定はもう一回ちゃんと確認しとくよー


オレの中では式最強補正がついてるもんでいかんな。

なんかあいつ最強っぽくねぇ?カワイイ的な意味で。

EDIT  |  17:14 |  未分類  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2008.03.15(Sat)

fate×空の境界SS『消失境界』改稿&最新話公開 

どうも、お久しぶりのメイリエです。

今回、かなり暇な時期に入りまして、やっとSSの執筆再開となります。

それと同時に、今まで書いたSSの書き直しをしました。

より良いものになるよう直しましたので、今までの話を忘れてしまった方や、ちょっと初めのは

読む気が・・・というような方はぜご一読ください。


あと最新話を公開しました。

今後も随時更新するので、よろしくです。


世界観説明:『Fate/stay night』3ルートのエンディング全てを総合したもの。
        『hollow ataraxia』終了後の設定。
                

プロローグ:朝

第一話:蒼崎

第二話:橙子

第三話:再開

第四話:境界

第五話:対峙

New!第六話:弓兵



これらの話はブログ内カテゴリの「小説」でも読むことができます。

それでは次回もお楽しみに。

EDIT  |  14:31 |  未分類  | TB(0)  | CM(1) | Top↑
2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS 第五話 

第五話:対峙

「とにかく・・・とにかくカレンの所へ行こう」
青崎の・・・橙子さんの話が終わり、オレ達はカレンのいる教会へ行くこととなった。
「昔の知り合いがやったイタズラの後片付けを頼まれた」
この話以降、結局橙子さんがこの事件に関わる理由については触れられることはなかった。
あれだけ言っていた遠坂も、橙子さんから滲み出る異常性、いや、狂気を察したのか、もうそれ以上聞くことができなかったようだ。
今まで様々な人間を見てきた。中にはそれこそ狂気にまみれていると言える人間も山ほど見てきた。
だけど、この人は今まで見てきた人間とは根本から違う存在だ。まるで賢者のような達観した部分を持ちながら、その中に絶対的な狂人性を持つ存在。
その不可思議な存在感は、ある意味では英霊のそれと同一と言える。
「それじゃ、今から会いに行きましょうか。教会にいる依頼主の所まで」
カレンに会いに行こうと言い出したのも、また橙子さんだった。
今だショックから立ち直れないオレ達を一切気遣う様子もなく、この人は
そう言い放ったのだ。
しかし今はここで落ち込んでいる暇も無く、すぐにでも行動を起こすべきなのは確かだった。
「シロウ」
家を出ようと玄関で靴を履いていると、後にいたセイバーが声をかけてきた。
「シロウ……一体この状況は何なのでしょうか?」
その表情はとても暗く、見ているこちらが辛くなってくる。
「私は、私はもう全て終わったのだと思っていました。もう剣を握ることもないのだと、命を削りあうこともないのだと。そう、思っていました。だけど……だけどそれは幻想だったのでしょうか。幻覚だったのでしょうか。私は……私達は、今だ争いの輪廻から解き放たれはしないのでしょうか」
セイバーは今まで塞き止めていた不安を、一気にオレへと投げかけてくる。
それはセイバーが本当の信頼をオレに向けてくれているということでもあり、とても不謹慎だけれど、オレは妙にほっとしてしまった。そう、仲間は、味方はここにいるんだ。
「大丈夫だよ、セイバー。オレ達はいつだって苦難を乗り越えてきたんだ。このぐらいのこと、何ともないさ。セイバーや遠坂達がいれば」
そう、孤独じゃないんだ。この手には、まだ残っている物がある。

昼間の蒸すような暑さも、夜となれば大分やわらいでくる。庭に吹く夜風は、ちりん、と縁側の風鈴を鳴らして流れていく。
「悪い、待たせちゃって」
すでに準備をして庭に出ていたメンバー達に洗物のために遅れたオレが軽く謝る。
遠坂はこんな時に洗物なんてのん気すぎ!とは言うけども、恐らく帰るのは遅くなるだろうし、やっぱり気になるんだ。
「カレンさん・・・いるでしょうか?」
桜が心配そうに呟く。
「大丈夫だ、まだ時間もそう遅くはないし、あいつは普段出歩くことってないし」
カレンはある特異体質の影響で、気軽に出歩くことが無いのだ。だから普段はずっと教会に篭って、何かしらの用事がある時だけ外に出る。
「とりあえず、これで原因はわかるわけね。そこの女は結局はぐらかしてばかりで真相は教えてくれないしね」
遠坂は爪をきりきりと噛みながら橙子さんを睨んでいる。
その刺すような視線にも、橙子さんは意にも介さないような顔をして立っていた。
「ああ、そうだ。さぁ行こう。教会へ」
その時だった。オレ達が庭を出ようと歩き出した、その時だった。

「こんな夜更けにお散歩か?」
少女の美しい声が響いた。
それは奇しくも少し前、燈子さんと出くわした瞬間と酷似していた。
「よかった。せっかく出向いたのに入れ違いだったら悲しいからな」
それは着物を着た非常に美しい少女で、着物の上に皮ジャンを羽織るというとてもおかしな服装で正門にもたれかかっていた。
「おい、式」
橙子さんが短く、少女に声をかける。
「私はホテルで待っていろと言ったはずだぞ」
今までは見せなかった、少し不快そうな表情で、橙子さんは少女に話し続ける。
「おいおい橙子。お前だけお楽しみでオレ達はだけおあづけか?わざわざこんな何も無い所に来てやったんだ。思う存分やらせろよ」
橙子さんとは対極的に、少女はとても愉快そうだ。
「ちょっと式、今日はそういうのは無しのはずでしょ?」
少女の後ろから、男の声が聞こえた。すっと前に乗り出しその男深くため息をついて、少女の肩を叩いた。
男性は短く切りそろえられた黒髪に、黒縁の眼鏡をかけていて、そして何よりも特徴的なのが上も下も黒という服装。
よく言えば落ち着いていて、悪くいえば地味だ。
「そんなつまらないこと言うなよ、コクトー。オレがここにいて、目の前に衛宮がいる。そしてその後ろにはこいつらがいる。まるでメインデイッシュの詰め合わせだ」
少女は相変わらず興奮していて、その目はひたすららんらんと輝いている。
ふと見れば少女はいつのまに取り出したのか、ナイフを持っていた。
その鈍く光る切っ先は、まるで少女の殺意をそのまま体言しているかのようだ。
「ちょっとあんた、一体何なのよ!あんたも蒼崎の知り合いなわけ!?」
とっさの事に言葉が出ないオレの代わりに、遠坂が少女に言った。
「つれだ。今日はホテルで缶詰してくれるはずだったんだがな」
橙子さんが、目線を地面へと向けながら呆れたように呟いた。その言いようからすると、この二人はいつもそうらしい。
荒い息遣いで落ちつかなげにナイフを揺らす様をみると、そんな燈子さんの態度も非常に納得できた。
何よりも、この少女はやばい。
恐らく橙子さんのように隠すという気がないのだろう。一般人が対峙すれば卒倒してしまうであろうほどの殺気が、庭一帯を覆いつくしている。
脇を見れば、セイバーが手を何かを握っているかのように筒状にしている。と同時に、吹きつくような風を感じた。
風王結界。セイバーが持つ「王の剣」を隠すための、仮の鞘であり、通常セイバーが戦う場合に使用するものである。
「何だよ、やっぱノリ気じゃないか。誰もかれもさ」
少女が言って、口の端を歪めた瞬間だった。閃光のようなものが、目の前を通り抜けた。
正に一瞬のことで、オレは何が起こったのか理解できなかったが、脇のセイバーはその
閃光が通りすぎていくよりも早く、オレの前に踏み出していた。
つんざくような金属音が響き、少女の姿が数mほど離れたところまで吹き飛ぶ。
「シロウ下がって!」
セイバーの叫び声にやっと我に返ったオレは、反射的に後方へと飛び退いた。
それを見てか、すでに体勢を立て直していた少女が、ナイフを後ろへと引いて追撃の
姿勢をとった。
「シロウ、向こうはやるつもりです。このまま戦闘に以降します」
セイバーが足にぐっと力をいれ、バネのように前へと跳ねる。
ほぼ水平に少女へと向かう様は正に弾丸。蒼い姿の弾丸が、弾ける火薬を推進剤とするように、セイバーは少女にぶつかっていった。
「ハッ!こうじゃないとな!!」
歓喜の極みと言わんばかりに少女が叫び、またも激しい金属音が庭に響く。
弾丸となったセイバーの袈裟斬りの一撃を、少女は僅かに体をそらし、ギリギリの所で
ナイフを使って受け流したのだ。
まさか人間がこの一撃を避けれるとは思わなかったのか、セイバーが意外そうな顔を浮かべて、勢いの殺されなかった体を地面にめり込むように踏ん張って押さえ込む。
そのまま足を折り曲げ、第二撃目の攻撃へと移行する。
どうやら、セイバーはこのまま一気に力押しで行くらしい。
遠坂たちはいきなりのことに驚いているようで、後方からは「何よいきなり!」というような怒声が聞こえている。
恐らくライダーならばこのままセイバーに加勢することもできるのだろうが、桜へ被害が及ぶ可能性も考えてか、動く気配がない。
このまま援護を待つよりは力押しで一気に決めた方がいいと考えるのはなんら自然なことだろう。橙子さんとの戦いでもそうだが、相手の素性がわからず、相手が自分の情報をどの程度持っているかわからない状態では、とにかく早期決戦が有効なのだ。
それに、「通常の人間」がこの戦いについていけるとも思えなかった。
弾き出されたセイバーが、次の斬撃を少女へとあびせるために剣を引く。それと同時に、少女は体を沈みこませるように姿勢を低くした。
「な!?」
セイバーが、ありえない者を見るかのように驚愕の表情を浮かべる。
それもそのはずだ、少女は体を沈ませると、そのまま向かってくるセイバーへと飛び出したのだから。
人間が、セイバーの魔力を使用した高速接近に反応できるだけでも奇跡のような出来事なのに、次はそのまま向かってくる。
これはすでに、人間の限界を超えた行為だった。

直感的に、セイバーの動きに違和感を覚える。
遅い、派手な魔力放出によって高速で動いていると思ったが、実際のところその動きは以前よりもずっと低速だった。
セイバーが、手を抜いている。それも、通常時の半分ほどの力だ。
考えてみれば、いくら常人離れした身体能力を持った人間であろうとも、本気のサーヴァントに太刀打ちできるとは思えない。
いや、初撃程度ならば紙一重で防げるかもしれないが、次撃を完璧な体勢で迎え撃つのは、とてもじゃないが不可能だろう。
それならば、少女の反応も納得がいく。いや、それでも普通ならありえないことだろうが。
セイバーと少女とが、凶器を振るって衝突へと備える。
いや、正確にはセイバーの襲撃を少女が迎撃、というのが正しいだろう。
攻める側と受ける側、戦闘に置ける立ち居地、が傍目にも明確にわかった。
凄まじい反応速度を見せた少女も、しかしセイバーの動きには追いつけない。
飛び出したとはいえ、一息の跳躍で行ける距離はセイバーの3分の1程度だった。
このままセイバーが力押しで攻めるのならば、少女が築く防壁は、すぐに壊れ去るだろう。
セイバーが、下方から切り上げるように剣を引き、少女は合わせるようにナイフを構える。
二つの影が、お互いの体を破壊するために武器を振るう瞬間だった。
少女が、真横に倒れた。
何が起こったのか理解できず目を見開くが、すぐに理解する。
倒れるように見えた少女は、セイバーの剣の軌跡の隙間、切り上げられる残撃の隙間に潜り込んだ。
セイバーの斬撃は首を刎ねようと狙ったもの。少女は剣の動きを読み、僅かな隙間へと逃げ込んだのだ。
体が地面に密着するより先に、折り曲げた右足を支点として体を回転させ、少女は体勢を斜めに傾けてセイバーの首を狙う。
ナイフの切っ先が、大きく音を立てて空振った。

「な……!?」
確実に決まったと思ったのだろう。少女は大きく目を見開くと、コマのように右脚を地面へと突き立て、体をすれ違ったセイバーの方へと向けた。
「―――さらに加速した」
少女が苦虫を噛み潰すような顔で呟く。
そう、少女がナイフを振るった瞬間、セイバーの体はさらに加速することでその一撃を避けたのだった。
放出する魔力量を一時的に増加させて加速する。
その時点でもすでに一般の魔術師とは比べ物にならない魔力量による高速接近であったのに、さらなる加速。おまけに斬撃が当たるよりも早くだ。これは少女に対してかなりショックを与えたのか、しばし呆然とした表情で少女はセイバーと対峙する。
「く……はは……すごいじゃないか。これが英霊か」
急に少女が笑い出し、オレはびくりと体を震わせてしまった。
確実に人間を凌駕するその行為を見ながら、少女は恐れることなどしない。
ただ、華奢な体には似つかわしくない笑いを浮かべ、その身を震わす快感に酔いしれる
という風だ。
イカれてる。確実にこいつはイカれてる。
初めて英霊と対峙したとき、オレは頭の芯がしびれるような感覚にとらわれ、とてもまともな判断などできなかった。
ただ目の前に存在する確実は恐怖に怯えただけだった。
だが、この少女は違う。
悦ぶのだ。恐怖に、死の気配に、この少女は目を輝かせている。ただひたすらに、確実な狂気だった。
「いいぜおい」
瞳孔が開き、瞳の奥に怪しげな光が収束していく中、少女は言う。
「英霊だろうが神様だろうが関係ない。殺してやるよ、今ここで」
嘲笑にも聞こえる言葉に、空気が凍りつくのを感じた。
EDIT  |  14:16 |  小説  | TB(0)  | CM(1) | Top↑
2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS 第四話 

第四話:境界

Third person aspect 『shiki』

「おい、幹也」
冬木市郊外のとあるビジネスホテルの一室。
部屋の中はなぜか薄暗く、日の高いこの季節でも、もうすぐ夜と呼べる時間であるにも関わらず、電気の一つも点いていない。
「おい……おい、幹也起きろ。おい」
その薄暗い部屋では、時代錯誤な着物に身を包んだ10代序盤の少女が居間にあるソファーに腰掛け、寝室のベッドにいるのであろう「幹也」という人物に声をかけていた。
その容姿は端麗と言っても全く過言ではないほど美しいものであり、肩のあたりで短く切りそろえられた真珠のように美しい黒髪は、その中性的で精悍な顔立ちとよく合っていた。
「幹也。起きないと放っておくぞ」
「ん―――ああ、ゴメン今起きたよ」
少女の、物静かで、しかしドスの聞いた声にやっと反応したのか、「幹也」はベッド寝ていたは気だるそうにのっそりとベッドから体を起こした。
「幹也」は短めの髪に黒い縁のメガネをかけた男性であり、少女より少年上の10代後半程度、その服装は自身のファッションセンスによるものなのか、全身黒一色である。
「幹也。お前少し寝るとか言って、半日も眠りこけていたぞ」
少女は大青年が起きるのに待ちくたびれていたのか、至極不機嫌な顔つきで頬杖をついている。
「だけどさ、昨日は橙子さんに徹夜で「衛宮士郎」のことを調べさせられていたんだ。ハッキリ言って、給与と全く釣り合わない労働だよ」
まだ眠そうな顔で居間へと顔を出した少年は、あくびをしてテーブルに置いてあった冷めたマグカップの中身を喉に流し込んだ。
「それまでに衛宮士郎のことは散々調べてきたはずなのに、昨日になってまた情報に漏れがないかチェックしろっていうんだもん。やんなっちゃうよ」
マグカップの中身が頭を覚醒させたのか、青年は「ン!」と声を出して伸びをした。
「お前は橙子の弟子だろ。理不尽な仕事でも文句をいわずやれよ。」
まだ機嫌は直らないのか、少女はムスっとした顔で言った。
「少なくてもいいんだよ。少なくても。でもお願いだからちゃんと給料日に渡して欲しいよね。『今日は面白い骨董品を見つけてな。あいにく今金がない』で済まされちゃ、貧乏人としては死活問題だよ」
少女の機嫌の悪さには気づかないのか、それともわざと気づかないフリをしているのか、青年は相変わらず気だるそうに少女に話を続けた。
「それにしても橙子さん遅いね。「ちょっと散歩行って来る」って言って出てったまま、結局戻ってこない」
「ああ、橙子なら今日はもう戻らないぞ」
「ん?何で?」
青年はさも疑問そうに、今しがた洗面所で洗った顔をタオルで拭きながら聞いた。
「さっき電話があってな。衛宮士郎の家に泊まるそうだ」
少女がケータイ電話を青年に見えるように掲げる。青年は洗面所から顔を半分出して少女の顔の覗き見て、目丸くしてわかりやすい驚愕の表情をした。
「ウソ!もう衛宮士郎に会ったの?相変わらずせっかちというか何というか」
青年はふぅーっとため息をついて、眉間を押さえた。
「それでだ、今から行くぞ」
青年が身づくろいを整えたのを確認して、少女がバッとソファーから立ち上がり、そのままかけていた皮ジャケットを乱暴にはおった。
着物に皮ジャンという非常にミスマッチな組み合わせであったが、少女はそのことを一寸も気にしていないようである。
「行くって……やっぱ衛宮の家?」
少年は半分わかっていたのか、特に驚く様子もなく聞き返す。
「当たり前だろう?これからが本番だ」
少女はその日本人形のような美しい顔をニィっと歪ませて笑った。
「式、ずい分と楽しそうだね」
少年は床に放り出していた手荷物を拾い上げ、式と呼んだ少女の後を追う。
「当たり前だろう黒桐。久しぶりに本気で殺しあえそうなんだ。最高に楽しみだよ」
美しい少女の表情は、すでに夜を生きる狂人の顔に変貌していた。

そして彼者は夜に留まり。
境界は歪みだす。
EDIT  |  14:15 |  小説  | TB(0)  | CM(0) | Top↑
2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS 第三話 

第三話:再開

「美味い!これは確かに美味しいねー。うわさ通りだ」
「でしょ?このから揚げなんてもう肉汁パラダイスって感じで!」
「うんうん。家の従業員もこれぐらい作れるといいんだけどねぇ。あの子限界がパスタだからなぁ・・・」
薄っすらと空が闇に包まれる時間帯。衛宮家では青い短髪の女性と、同じく茶色で短髪の虎が仲良く意気投合していた。
戦いが終わりぐったりとうな垂れるオレ達。もはや体が限界を超えている状態。これ以上の戦闘はあまりにも危険な状態。
というか、もはや指一つ動かすのもおっくうな状態だった。
そんなオレ達に、先ほどまで命のやりとりをしていた魔術師は、「私まだ夕飯食べてなくてさ。すっごいお腹空いてんのよ。悪いけど速攻で何か作ってくれる?」
そんな悪魔のようなセリフを吐き、オレを家まで引きずっていった
結局、蒼崎はしれっとした顔でからあげをほお張っている。
あの後すぐ失神してしまったバゼットを布団に運んでから飯を作るのは、正直死ぬかと思うくらいの重労働だった。
一体オレ達は何のために戦ったのか。いや、それよりも……。
オレは怖い映画をクッションの隙間からチラッと見るような気持ちで、オレ達が飯を食っているテーブルを見渡した。
「う…おぅ…」
とてつもなく静かで、それでいてナイフのように鋭い殺気。
今、一見何でもない顔をしている食卓の人々から、とんでもない負のオーラがあふれ出している。
セイバーは平気そうに飯を食いながらも、その獲物を狩る直前の獅子のような殺気を、恐らくわざとオレ達にひしひしと感じさせている。
そして遠坂は、ニッコリとまるで凍りついたような笑顔でオレの顔を凄まじくガン見している。そりゃもうとんでもなくガン見している。
ライダーは逆に不自然なほど全くの気配を消し、黙々と飯を食べ続けている。でもその目は完全に焦点が合っていない。
そして桜はその決していいとはいえない雰囲気に、わけもわからず戸惑っている。
オレはそのあふれ出る殺気の強さに飲まれないように、すぐに視線を戻して目の前の夕飯に集中した。
「衛宮くん。悪いんだけどちょっといい?」
「は、はぃぃ!」
しかしその集中も、悪魔のささやきで唐突に遮られた。遠坂に促されるまま、オレは廊下へと出る。
「えと、遠坂、これにはワケがあって」
必死の言い訳を遠坂にしようとした瞬間、腹部に鈍い衝撃を感じた。
言い終わる前に、遠坂のボディーブローがオレのみぞおちへとめり込んでいたのだ。
「あ……くぅ…ぅ」
オレは前のめりになり、胃からせり上がる痛みと嘔吐感を必死に抑える。
その状態で遠坂の顔色を伺おうと目線を上げた瞬間、次は髪の毛を掴まれた。
「ねぇ士郎、これはどういうことなの?説明してくれる?」
先ほどまで抑えていた殺気は、開放された瞬間凄まじい重圧となってオレに突き刺さってくる。
「遠坂、本当に違うんだ」
腹部の痛みと重圧に耐えるオレには、そう茶を濁すことが限界だった。
「桜は気づいてないみたいだけど、まさか私まで誤魔化せるとは思って ないでしょ?この町に――遠坂の管轄であるこの冬木の町に封印指定魔術師がいるということが、一体魔術協会に対してどういう影響を与えるかわかるでしょ?」
「それはわかってる。でもオレが連れてきたわけじゃないし……」
そこまでいって、二撃目の拳がオレのみぞおちにめりこんだ。
「う……ごほっ」
「そんなことはわかってんのよ!そうじゃなくて、それがわかってんのに何でそいつにわざわざ夕飯作って食わせてんのかって聞いての!!」
「それは……やっぱお腹空かせている人を放って置けないし……」
その瞬間、次は股間へと遠坂の膝蹴りがキマった。
「ううぐぅぅぅぅあぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
オレは今度こそ声にならない悲鳴を上げて地面を転がりまわった。
「あんたねぇ―――本当に殺されたいの?」
痛みを必死に堪えて見ると、遠坂の指の先端が鈍く光っている。
殺される。次こそ迂闊なことを言ったら殺される。確実に。
痛みを堪えながら自身に迫りつつある死の恐怖に絶望するオレと、そんなオレを恐ろしいくらい据わった目で見据える遠坂。
と、そこでふいに声がかけれた。
「おい、そこらにしておけ。本当に死んでしまうぞ?」
眼鏡を外した蒼崎が廊下の壁にもたれ掛かりながら苦笑していた。

「で、だ。率直に、なぜ私がこの地に足を運んだのか、という所から話そう」
場所を移し、今オレ達は屋敷で遠坂が使っている部屋にいる。部屋にはオレと遠坂とセイバーと桜―――そして蒼崎。
つまり、もう帰った藤ねぇを除くオールメンバーがいた。
桜は蒼崎が封印指定だと話した所事情を察し、今は真剣な面持ちである。
昔から急なお客さんというのもそう珍しくなかったので、特に違和感は感じなかったそうだ。まー色々とある家だからなぁ。
「まず、私は君たちのことをよーく知っている。というか、魔術協会と何らかのパイプラインを持つ者に、今までの冬木で起こったことを知らない者はいないだろうよ」
青崎はタバコを一本くゆらせながら、またも悠々とリラックスした表情で話す。
そして遠坂達はその様子をさもいぶかしそうに見つめている。
「聖杯戦争。そしてその戦いの生き残り、遠坂。ま、普通ならそこまでだな。衛宮君……君のことを調べるのには本当に苦労したよ。何せ協会側の隠蔽は大変手の込んだもんだったんでな。
そもそももぐりの魔術師というのはそれだけで見つけるのに骨を折るもんだ。どいつもこいつも隠れるのだけは上手いのが多いからな。私の人脈をフルに使って調べ上げて、やっと今回の本来の勝利者である衛宮士郎の住所を割り出した。」
蒼崎はハァ~っとため息をついて携帯灰皿にタバコをねじ込んだ。
蒼崎が持つ人脈。それは魔術協会という正規の組織から追われる者にとっての物であるなら、恐らく限りなくブラックな人脈なのだろう。
「で、そこまでしてコイツのことを調べたのは何故なの?よその人間にとって、聖杯戦争は全く無関係なことでしょう?」
痺れを切らした遠坂が、オブラートに包むことなく疑問をぶつける。
「そう、そこだ。何故私がこの聖杯戦争終結後の冬木に来たのか。全ては、現在の協会側の聖杯戦争管理者であるカレン・オルテンシアからの情報提供からだった」
「カレンが……」

カレン・オルテンシア。
前回の聖杯戦争において死亡した協会側の聖杯戦争管理者、言峰の代わりに協会が派遣した冬木のお目付け役。その人間が封印指定魔術師に情報提供?何を?
「恐らく彼女もずい分と色々なことを調べたらしい。まさか協会の人間に接触を図られるとは思ってもみなかったよ。ま、協会の人間だからこそとも言えるがね。」
ダン!と遠坂がテーブルに拳を叩きつける。
「アンタの長ったらしい話はいいのよ!早く話しの要点を言いなさい!あのガキ女が流した情報ってのは何なの!!」
「まぁ待て。話には順序というものがあるだろう。せっかちな女は男に嫌われるぞ」
「何ですって!余計なお世話よ!!」
あ、それはオレも蒼崎に賛成かも。
「カレン・オルテンシアが私に話した情報。それは簡潔に言うとこういうものだった」
青崎が一息入れて。またタバコをくわえようとする。それを遠坂がぱっと奪い取り、青崎は何とも不満そうな顔をした。
「聖杯戦争が、再開する」
唐突に、不満そうな顔をしたまま青崎がその言葉を口走った。
「へ?」
オレ達は、全員が顔に?を浮かべた。
「聖杯戦争が再開する。それも、全く本来の目的による聖杯戦争だ。そして、これは決して次の聖杯戦争ではない。一切の比喩の無い、前回聖杯戦争……いや、今聖杯戦争の続行を意味する」
「そんな―――そんなバカなこと、あるはずがありません!!」
先ほどまで静観を決め込んでいたセイバーが声を荒げる。
「確かに、先の聖杯戦争で聖杯は完全に破壊されたはず。この状況でまた聖杯戦争が再開するなど、そんなことはありえないと思います。」
セイバーと同じく静観を決め込んでいたライダーも、そう言い放った。
そう、もうすでに聖杯戦争の発端である聖杯は完全破壊されたんだ。
聖杯となるはずだった一人の少女が、自ら全てを終わらせたことによって。

「それは、本当に聖杯戦争の『再開』なんですか?第五回聖杯戦争。その正式な再開であると」
若干混乱しながら、桜もおずおずと質問した。
「ああ。今回のは完全な「再開」だ。本当にまた始まった」
「ちょっと待ってよ!第一まだこの町になんの異変も訪れていないこの状況でいきなり聖杯戦争が再開するとは思えないわ!!」
全員が思い思いの疑問をぶつけていく。
無理もない、何せ急にこんなことを言われたら誰だって混乱する。
「士郎もなんか言いなさいよ!」
遠坂が矛先をオレにも向ける。オレは唐突になことに戸惑うが、すぐに気を持ち直して返答した。
「いや……オレは別に」
「何でよ!アンタだって疑問に思うでしょ!」
実は、オレはこの話を聞いてもなぜかあまり驚かなかった。何というか、確かにここ最近、どこかに違和感を持っていた。
暑い、暑い夏。ただそれだけなのに。なぜかそこに違和感があった。
「いやすでに異変は始まっている。お前たちが気づいてないだけだ」
そんな状況でも蒼崎は全く動じることなく。ただ淡々と話を続ける。
「な、なんだって言うのよ!私達が気づかない異変って!」
あまりの蒼崎の冷静さに戸惑ってか、遠坂も若干声が落ちる。
「お前ら、前回の再現が起きた事件当時、いつ頃だったか覚えているか?」
「え、確か……一年6ヶ月前……そう、一年半前の冬よ」
唐突な青崎の質問に、またも遠坂は若干押され気味に答える。
「ほう。それは確かお前らが高校2年生の冬。そしてカレン・オルテンシアらと出会ったのが翌年の10月。つまり三年生の秋だったはずだ」
「そ、そうよ」
「ほう。ならお前ら今高校何年生でそして現在は何月なんだ」
「え、高校三年生の…今は7月……え?」
あれ?おかしい。去年三年生で、何で今年も三年生なんだ?重複している。
「ほらな。お前らは気づいてない。いや、気づかないようにされている。今の現状に違和感を抱かないように仕向けられている。聖杯によってな」
「でも……でも聖杯は私達が完璧に破壊したのよ!」
そう、確かに聖杯はもう存在しな。いや、存在してはいけないんだ。
「また蘇ったんだよ。ある事情によってな。聖杯とはある種我々の常識の外にある物質だ。
完全なる奇跡の権化であるのだから、別段不思議でもないだろう?」
「そんな、バカな」
オレ達全員が、肩を落としてうな垂れる。そんな、それなら今まで過ごしてきた日々は一体どこからどこまでが現実で、どこからどこまでが虚構なんだ?
「でも……それでもなんであんたがそのために冬木に?そこの説明にはなっていないわ。なんでカレンはあんたにその情報をリークしたの?それは再開の原因と関係があるの?」
遠坂は、肩を落としながらも、意思の強い瞳で蒼崎を睨みつけている。そこには、遠坂の人間としての、冬木の町を管理する人間としての責任感が宿っていた。
その瞳に、蒼崎はニヤリと不適な笑みを浮かべながら。

「何、私の知り合いがやったイタズラの後片付けを頼まれたのさ」
軽やかに、そう答えた。
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2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS 第二話 

第二話:橙子

束の間の、静寂があった。
生ぬるい風がオレの肌をくすぐり、通り抜けていく。その風は、たった一瞬にも関わらず大量に吹き出したオレの汗を冷やすには少しばかりぬるすぎる風だった。
住宅街にある狭い道路。当然ながらその通りにはたくさんの家が立ち並んでいる。
夕方の最も騒がしく、しかしそれは言い方を変えると賑やかで温かみのある景色は。
一切の音もなく。通る人もおらず。正に無の空間。それは今、オレの眼前にいる人間が作り出した世界だった。
タバコを咥え、手にはトランクケース。水色がかった頭髪と、挑発的な鋭い目つきは見るものを威圧する。
そんな女性が作り出した、彼女の世界がここにはあった。
一瞬が過ぎた。いや、正確にはオレの脳から大量に噴出されたアドレナリンが作り出した
幻想の時間は、まるでさっき吹いたぬるい風のように、消えていった。

体の神経全てが引き絞られるような痛みが走る。
これは恐らく魔術回路を開いたせいなのだと、すぐにわかった。
なんせ、オレはさっき反射的に自分の中のスイッチを、撃鉄のイメージを持つ魔術回路を
叩きつけるように開いたのだから。
それはやはり、バゼットもオレと同じ状態なのだろう。息を荒くして、眼前の化け物と対峙していた。
「おい」
化け物が、口を開く。
「えらく気合が入っているみたいじゃないか。しかし目は怯えた羊みたいな目だ。何、私は個人はそう大した魔術師ではない。魔術回路の数もそこの衛宮君とそう変わらない。いや、少ないくらいか?」
確実に緊張の中にいるオレ達を尻目に、そいつは悠々と言い放った。
ああ、わかってるさ。あんた事態が戦う人間ではないってことぐらい。
しかし、だからこそこの感覚が恐ろしい。
サーヴァントと対峙した時と同じ感覚。背筋が凍るような、あの痺れ。
しかし問題は、その力の元が、パワーソースがわからない。
サーヴァントはその存在自体が圧倒的すぎる凶器だ。存在が剣であり、姿そのものがが畏怖の象徴と言える。
しかし、この女性からはその圧倒的なものが何一つ感じられない。
けれどオレの中の何かが叫ぶ。
「気をつけろ。こいつは何かヤバい物を持っている。絶対に持っている」
そう、オレに訴えかけてくる。
これはきっと、英霊と戦うことで得た経験。命を貸しての戦いから学んだ知識だと、体そのものが告げていた。
それもまた、バゼットと同一のようだった。
「士郎」
唐突に、バゼットはオレに話しかけてきた。すっとその横顔を確認する。
その顔はすでに、戦う人間の顔だった。怯えのない、まるで獣のような瞳を揺らめかせている。
「士郎、私はあの人間を写真やデータでしか確認したことがありません」
元「魔術師の封印指定執行者」である彼女が「写真やデータで確認したことがある」
と言ったということは、暗に、「あの女性は封印指定の魔術師である」と言っていることになる
それに。
「蒼崎……」
この名前だけは、オレも知っていた。
現代科学で到達できる魔術の壁を越えた、『魔法』を操る魔法使い。絶対的な奇跡を操る者。
その数は現在5人と言われるが、それが事実かどうかは定かではない。
いや、永遠に定かにされることは無いだろう。
その奇跡の代行人である魔法使い。内の一人と言われる人物が、蒼崎だった。
このことが何を指すかは、オレにもわかる。
しかしこの人物は魔法使いではない。魔法使いだとしたなら、結界などという『魔術』を使用することは無いだろう。
だが、全く関係が無いというわけでも無いだろう。つまりは、この人物は蒼崎の血縁者である可能性が高い。

「ほぉ。お前、封印指定執行者か」
その青崎という魔術師は、にまりと笑いこちらを見据えた。
「皮肉というか何というか、まさかここで執行者に出会うとは」
クク、とニヒルな笑いを漏らし、魔術師は額に指を置く。
「私は、私はもう執行者ではない」
バゼットが、その強い眼光で青崎を、魔術師を睨んだ。魔術師はふぅんと興味無さげに息をつき、「まぁ・・・どちらでもいいがな」
呟いて、手に持ったトランクケースを、ガタリと落とした。
パクン……と、トランクケースが開かれる
その音は始まりの合図。戦闘の合図。闘争の合図。

瞬間、トランクから黒い「口」が出た。
それはそう、「口」だ。大きく開いた口だけの化け物。ただ真っ黒く大きな口が、蒼崎の正面に現れた。
その敵を一瞬で捕捉すると、バゼットは全身全霊の力を足にこめて、地面を蹴った。
速い。凄まじく速い。まさしく駿足。
元々バゼットは格闘主体の魔術師だ。それも接近戦では一流といえるほどの。
今日は戦闘の準備をしてなかった分若干不利かと思われるが、両腕に嵌めた硬化のルーンを刻んだ手袋だけでも十分すぎる戦闘力を持つ。

ターゲットは魔術師本人だろう。
恐らく、あの口は使い魔の類。これはある程度は予想していた。何せこの蒼崎という魔術師からは戦う人間の雰囲気が無い。その人間が戦闘をするとした場合、使い魔などの自身の戦闘能力と関係しない媒体を使うことは明白だ。
ならばここで使い魔を叩いた所で一切の意味はない。これもまた、オレ達が経験した戦争でも常識であった。
ほんの少しだけ、この使い魔からほんの少しだけの空きを作ればいい。
硬化のルーンを刻み時速80kmで射出されるバゼットの拳ならば、その程度は大して難しいことではないはず。
そう、難しいことではないはずなんだ。
だがオレはゾクリと、寒気を感じた。
いけないバゼット。そいつと正面からぶつかり合ってはいけない。
これはその状況を傍観する第三者だからこそわかること。対峙してはいけないと感じること。
バゼットが青崎の使い魔とぶつかり合う寸前に、何とかオレはそのことに気づくことができた。
そして作り出す。オレの戦う手段。自分が知っている剣を、その場で創り出す。
──────「投影、開始(トレース、オン)――――――――
複製する剣の創造理念を鑑定し、基本となる骨子を想定し、構成した材質を複製し、製作に及ぶ技術を模範し、成長に至る経験に共感し、蓄積された年月を再現する。
それはそう、一瞬でいい。
―――――「投影、終了(トレース、オフ)」―――――
一瞬の時間さえあれば、オレには十分なんだ。

Another aspect

それはそう、一瞬のこと。私は、自分の軽率な行動に後悔していた。
「いける」と思った。
この戦い、勝負は短期決戦が望ましい。なぜなら私が所持する蒼崎橙子の情報はごく少数、
「彼女は魔法使い蒼崎青子の姉であり最高の人形師である」ほとんどこれに尽きる。
後あるとすれば、高い魔術の能力を持つものの、魔術回路や魔力量は少ないということ。
この程度だ。
それに対し向こうが私達の情報をどの程度持っているのかは一切わからない。
士郎の名前を出したということは、士郎の投影魔術のことも知っているかもしれない。
そのようなリスクがあるなら、この戦いは長引かせるわけにはいかないのだ。
恐らくこの使い魔も人形師としての技術で作り出したのだろう。形状から考えて攻撃に特化した使い魔である可能性が高い。ならば、防御自体は薄いはず。
距離は約40m。傾斜などによる不利は一切無し、全くの直線だ。
この程度の距離ならばすぐ詰めることができるし、敵の使い魔に大きな動きは無い。
先手必勝、いける。
私はそう、考えた。しかしそれは大きな間違いであることに気づく。

一息に地面を蹴り、意識が追いつくより早く使い魔との距離を0まで詰めた。
体をえびぞりにして、拳を頭が腹部に着くぐらいに引き絞る。
敵の反応も見られない。絶好のチャンス。
ギリギリまで引き絞った拳を、右フックとして繰り出し、そして口の後部を一撃でしとめる。
確かに、そのはずだった。
「あ……」
まるで霧に腕を通したように、一切の手ごたえがなく、私の拳は空を切った。
私は理解する。そうか、この使い魔は「口」の形をした使い魔ではない。
口という概念そのものなんだと。

目の前には口が迫る。私はただ、あまりにもあっけない自分の終わりに、呆れてしまった。
風を切り裂くような音が、耳に届く。
脳内物質の暴走のためか、機敏になった前身の感覚が、風切り音を追った。
瞳を、瞬時に音の方向へと向ける。目に映ったのは、私の頬のすぐ横を掠めた、一本の黒い短剣だった
その短剣は口の根元、トランク部分に鈍い音を立て突き刺さる。
「っ!?」
少しだけ、蒼崎橙子が動揺したように見えた。
口は私を飲み込むタイミングを逃したのか、くっと動きを止めた。私はその隙を逃すことなくバックステップで後方へと逃れる。
「ホロ……グラム?」
トランクからチラリと見えたそれは、映写機のような機械だった。
「あ、バレたか」
蒼崎橙子はイタズラがばれた子どものように呑気に言った。
なるほど、こういうことか。
概念だけの存在であることを隠すため、ホログラムによる仮の実態を作り、相手を騙す。
さすがだ、さすが封印指定魔術師。
この状況、自分達は何一つ有利になどなっていない。しかし、不利でもない。
だが、精神的な面では圧倒的にこちらが気おされている。
例え今、斬り抉る戦神の剣(フラガラック)があったとしても、この魔術師には決定打を与えることはできないだろう。
後ろを振り返る。
そこには先ほど投擲した短剣、正確には白と黒の双剣を構える士郎の姿があった。
しかしその顔色は決していいとは言えない。
あまりの緊張に忘れていたが、ここは彼女が張った結界の中だ。
少しずつとはいえ私たちの体力を確実にそぎ落としていく。
万事休すかと、眉間を冷たい汗が流れた。
ふと目線を上げると、絶望の中思考に暮れる私を見ながらつまらなさそうな蒼崎橙子がいる。
そういえばこいつ、追撃してこない?
私が思わず思案に暮れていた数秒間の間、なぜ追撃してこなかった?
それにこの目、先ほどの、戦おうとする意思がまったく感じられない。
まるでトランクのトリックがバレた時点で全て終ったかのようだ。
そんなはずは、ないのに。
また思考の海に飲み込まれそうになるのをぐっと堪えて青崎橙子を見据えると、なぜか眼鏡を着けてぼ~っとした顔の蒼崎燈子と目があった。
「ねぇ、衛宮君が作るご飯ってすごく美味しいって聞いたんだけどさ。ホント?」
間の抜けた目つきのまま、やはり間の抜けた質問をされた。
あっけに取られるなかすっと結界が消えるのを感じる。もうすでに空は闇に包まれていて、
汗びっしょりでへたりこむ私達と、涼しい顔でタバコに火を着けようとする蒼崎橙子が、
最高の人形師と呼ばれる魔術師がいた。
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2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS 第一話 

第一話:蒼崎

「暑は夏い」とかいう古いギャグがあったが、この状況ではそのギャグの寒さもこの火照る体をヒンヤリと包み込むことはない。むしろイライラする。
オレは終業式の長い校長の語りを聞きながら、あのヅラは一体どういう構造で頭に貼りついているんだろう、ぜひ一度解析してみたいものだ。などという至極くだらないことに脳細胞を使っていた。
暑い。暑すぎる。なんなんだ本当に。
普段なら軽く聞き流せる校長の学生時代の思いでも、今はひたすらに神経を突きまわしてくる。
爆発寸前という言葉が、頭の中で回った。
約30分にわたる拷問を無事乗り切った亡者達はぞろぞろと教室に帰っていく。
我がクラスで戦死者が4人。校長にはぜひとも状況を理解してのトークをして欲しいものだ。

「衛宮、今日は午後から暇か?」
机に突っ伏して、あまりの暑さに脳みそを蒸されていると、傍に立った一成がオレの顔を覗き込むように聞いてきた。その面持ちは少しもうしわけないような、遠慮がちなものだ。
きっと「さぁ夏休み!」というこの状況で手伝いを頼むことにためらいがあるのだろう。
「悪い一成。ちょっと今日は綾子に弓道部を覗いてくれって頼まれてて」
そんな一成の様子が感染したのか、オレもえらくもうしなさげに答えてしまった。
「そ、そうか、いやすまない。どうも衛宮に頼るくせがついてしまってな・・・」
そんなオレにさらにもうしわけないと思ったのか、一成は漁りだす。
「けど明日なら大丈夫だ。とりあえず用事だけでも聞いておくよ」
「そうか・・・すまない。実は文芸部のエアコンが・・・」
一成は少しはにかみながら用事の内容を話し出した。ここで断ってもオレはしつこく用事を聞き出そうとすることを一成は知っている。だからあえてこういう時、遠慮はしない。
そんな一成との関係をオレも気に入っていた。
「それじゃ悪いけどそろそろ行くよ。また明日な」
「いつもいつも本当にすまない。恩に着る」
「かまわないさ。人の役に立てるならな」
「衛宮のそういう所は好きだ、だがそれも度が過ぎると誰かにつけこまれる隙に……」
一成の説教が始まりそうな気配を察し、そそくさと教室から出た。
何か今日は朝から逃げてばっかな気がする。ああ、我が家でぐうたらしているであろう王様の姿が頭に浮かぶ……。

弓道場への入り口には、我が家の最強生物2が……間桐桜が立っていた。
その紫色の髪にはいつものように昔、遠坂が渡したという髪留めが着いている。
それは二人の姉妹の証であり、桜と遠坂の、姉妹としての絆の象徴でもある。
顔を伏せて立っていた桜はオレの足音に気づくと、さっと顔をこちらに向けた。
「先輩!?」
「よう桜。待っててくれたのか?」
「あ、はい。ちょうど休憩だったから」
桜は顔をほんのり赤らめながら恥ずかしそうに目を泳がせた。
「それじゃあ道場へ戻りましょうか。部長」
少し茶目っけを出してそう声をかけたオレに、「そうですね。今日はよろしくお願いします、先輩」
その言葉でスイッチが入ったのか、桜は弓道部部長の顔に変わり、凛々しく答えた。

そう、今の弓道部の部長はもう綾子じゃない。
もう部自体は引退した綾子にとって、新入部員相手に熱弁を奮うことはあくまで趣味の一環にすぎない。なんだかあいつって、将来は仕事人間になりそうだな。
「どうかしましたか?」
ボーっとしていたオレに桜が心配したのか声をかけた。
「いや、何でも無い。ちょっと考え事」
さすがにどこぞの部活マニアの行く末を案じていたとは答えられず、適当な返事をする。
桜は首を傾げて不思議な顔をするが、にっこりと笑って、オレの手を引いてきた。
自分の顔が熱くなるのを感じて、恥ずかしさがこみ上げる。同時に、前よりも積極的になった桜に、嬉しいのかいじらしいのか、よくわからない感情がこみ上げた。

「いやー衛宮がいてくれると助かるよ!主に雑用全般で!」
まぁぶっちゃけこんなもんだ。やることなんて。
もしかしてオレが新入部員の指導をするとでも?というかできるとでも?
無理です。普通に無理です
一年で弓道をやめてしまったオレに、人に教えるなんて不可能だ。オレにできるのは痛んだ弓の修理やちょっとした掃除くらい。
「いやー士郎ってば助かるー♪正に正義の味方!」
虎よ。それ以上咆えないでくれ。頼むから。相変わらずの能天気バリバリな藤ねぇの声に呆れながら、ちらりと射場を盗み見た。
さすがに綾子や桜にしごかれまくった部員たちだ、その腕は確かな物で、恐らく県でも屈指の強豪と呼べる腕前ばかり。

もう一人ワカメの人も部員達をしごいていたが、あれは何一つ得をしないしごきだったからな。
簡潔に言うと後輩イジメだ。
「衛宮もさ、ちょっと撃ってみる?」
射場を見るオレに気づいたのか、綾子がいつもの質問をしてくるが、それをオレはいつもの言葉で返した。
「言ってるだろ?他の部員の弓なんて恐れ多くて使えない。撃ちたいと思ったら自分の
 弓を持ってくるよ」
そんないつも通りの返答に、綾子は「そっか」、と短く返事をする。
また弓の手入れに戻り作業続けていると、オレンジの色の光が道場に差し込んでいるのが見えた。もうそろそろ夕方かと気づく。
「悪い、オレちょっと夕飯の支度があるから先帰るな」
とりあえず一言声をかけて道場を出ようとすると、「あ、私も……」という声が射場からした。
見ると、桜がそそくさと帰り支度を始めようとしていた。
「いいよ。桜は大会も近いんだし、それに部長って立場があるんだ。途中で帰っちゃだめだろ」
「でも……」
「いいから。その代わり大会終ったら桜の美味い飯、たらふく食わせてくれよな。桜の飯がないとセイバーも発狂するし、そこのバカ虎も」
「バカ虎って何よ!藤村先生でしょ藤村先生!」
「悪い悪い。んじゃお先―」
「んー。また今度もよろしくなー衛宮」
そんな短いやりとりをした後、オレは道場を後にした。
空を見上げれば、真っ赤な夕日。それは町をオレンジ色に染め上げ、一日が後半へと入ったことを克明にしてた。

一通りの晩飯の買い物を済ませ、オレは新都の商店街を歩いていた。ほんのりと香る商店街独特の臭いが、ついつい買い物をする手を軽快にした。
「ちょい買いすぎたか。まー家には良く食うのがいるからな」
そんなことを呟きながら、商店街を抜けて大通りへと出ると、ふいに以外なものが目に入った。
「うん?あれは、バゼット?」
50mほど先に、良く見知った男装の女性がいた。少し前に我が家の居候であった女性だ。
「何とか仕事が見つかりました!いつまでもここにいるわけにもいきませんし、近々ここを出ようかと思います」

そんなちょっぴり「出ようかと思いますって、ここは貸し部屋じゃないぞ」などと思うセリフを吐いた翌日には出て行った女性だ。
行動が早いというか、猪突猛進というか、いや、深く考えるのはやめよう。
とにかくその女性が今、すぐ先にいた。
しかも、酷く疲れた様子で。というか精根尽き果てた様子で。
「あー……バゼット?」
少しためらったが、ここで話しかけないわけにもいかない
「んぁ、う、う?」
少し頭がイッちゃってるような返事を返した後。
「あ……は!士郎!?どうも、お久しぶりですね」
いつものバゼットに戻った。
「その節はお世話になりました。なんとお礼を言えばいいやら」
「そういうお礼はもっと早く言おうね」という思いも、この礼儀正しい態度の前では霞んでしまう。こういう馬鹿に律儀な人は憎めない。というか好きなタイプだ。
「なんか疲れてるみたいだけど。今、どんな仕事してるの?」
「はい、実は派遣社員を」
ああ。なるほど。うんうん。非常に納得した。
この馬鹿正直なバゼットのことだ。どっかのくそえらい仕事場に飛ばされて、そこで
もやっぱり律儀にキッチリ仕事をこなしているんだろう。それでこれか。
なんか泣けてきたな。
「バゼットさ、今日オレん家で晩飯食うか?」
何気なくそう聞いた瞬間、バゼットの顔がオモチャを目の前にした子犬のような顔になった。
「い、いいんですか?いや実はここ一週間カップメン以外の物を口にしてなくて」
やめてくれ。マジで涙が出てくる
そんなこんなで今日はバゼットといっしょに我が家がある住宅街へとバスで帰ることに。
たまにはお客さんもいいな。セイバーと藤ねぇは取り分が減るとか言いそうだけど。
バスに揺られて数10分、目的地である住宅街のバス停に着いた。
日はすでに沈みかけていて、もうすぐ夜がやってくるんだと教えていた。その中をオレとバゼットは買い物袋をぶら下げながら歩く。
「バゼットも結構大変なんだなぁ」
「そんなことありませんよ。きっと士郎達の方がずっと大変です」
「いや、オレは口からエクトプラズマ出したりしないし……」
薄暗くなってきた住宅街を、二人で話しながら歩く。家には、あと数百mほどの距離だ。

「もうすぐ着きますね。私はこんな風に人と世間話をするのは久しぶりですから、あっという間に着いた感じです」
「オレもだよ、やっぱ誰かと帰るってのはいい」

────しかし、領地は遠ざかる―――――
────────双眸は光り暗闇を刺す――――――

「うく、あ……」
呼吸が、止まった。

────覚悟いいかと彼女は呟き、蛇の如き指先はうねる――――――

「これ…は…」
バゼットもまた、苦しがっている。
バス停から歩いてきて、家との距離が100mほどになった瞬間だった。

―――――ああ、今は夜。魔法使いは箒に跨り――――――

「これは……結界……?」
以前、ライダーの結界に出くわした時の感覚が、脳髄を埋め尽くしていく。
しかし、あの時よりもずっと鋭く、収束するように思えた。
「こんばんは」
見た先に、誰かがいた。
「こんばんは、衛宮士郎君」

その女性は立っていた。そしてオレにあいさつをした。ただ、それだけ。
バゼットは苦しいのか震える眼でその女性を見て、蒼白の顔で固まった。
「蒼崎……」
バゼットは震えながら、驚愕を瞳に映す。
「ちょっと余計な人がいるけど・・・魔術師かな?」
女性はこの状況下に最高に似つかわしくない声で言う。
「まーいっか。それじゃま・・・」
女性はかけていた眼鏡に指を掛ける。
「いっちょやりますか」
そうして、彼女は自分のスイッチを、切り替えた。
「橙子……」
遅れてバゼットが呟いたその瞬間に、オレは自身の撃鉄を体へと打ち下ろしていた。
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2008.03.14(Fri)

fate×空の境界SS プロローグ 

カーテンを開けるざらついた音が、寝起きの頭に無機質に届く。
まだ麻痺している頭を動かし、音のした方向を意識すると、それが隣の部屋からのものだとわかった。
ゆっくりと息を吸い、夏の湿った空気を肺へと流し込む。
どうやら今日は不覚だったらしい。いつもなら自分は30分ほど前に起きて、朝食の準備をしていなければばらない。というか、隣室にいる人物に、早起きで負けるのがイヤだ。
つまらない意地だとは思うが、この無駄に広い武家屋敷の家主として、どの住人よりも早く起きないと、という思いが、どうしても出てしまう。
そのために、最近は以前よりも30分早く起きるようにしている。以前の時間だと、どうしても他の住人の方が早く起きるのだ。一部の住人には余裕で勝利ではあるが。
のっそりと布団から起き上がると、意識を飛ばすように頭を振った。
久しぶりに取れたゆとりのある睡眠に、若干の満足感を覚える。
土蔵で寝た夜は、腰が痛くて悲惨なことになるからな。寒いし。
そういえば、昨日は懐かしい夢を見た。懐かしいと言っても、つい一年ほど前にあった出来事の夢だけど。
一つの戦争の夢。誰もが傷つき、何かを失った戦い。
その中で、オレは自分の内にある正義を貫く覚悟をした。
ほんの、一年と少しの昔だ。

はっと我に返り、思考を止めて足に力を入れ布団から立ち上がった。
急いで布団をたたみ、制服へと着替える。いつもより手際良く朝の支度が進むのは、夢のことを頭から消すためだった。
過ぎたことを色々思い出すのは精神衛生上よくないだろう。
部屋のふすまに手をかけると、ちょうど一緒のタイミングで部屋から出ようとしたのだろう、隣室から出ようとする人の気配があった。
少しばかりびっくりさせようと、出るタイミングを合わせる。
しかし、もしこの気配が気のせいだった場合、はた目から見たらとても寒い人になるのだろうなと一瞬冷静になって、情けない気持ちがする。
しかし気のせいでは無かったらしく、案の定、部屋のふすまを開けると、小ぢんまりとした同居人が部屋から出てくる所だった。
「おはようセイバー」
できるだけ優しく、朝のあいさつをする。
セイバーは自分と同時に部屋から出てきた家主に少し驚いた後、にっこりと微笑を浮かべてあいさつを返してくれた。
「おはようございます。士郎」

プロローグ:朝

「相変わらず士郎のご飯は美味しいねー!お姉ちゃんホントに嬉しい」
今日もまた、朝から虎が咆えた。
この咆哮を聞き、「いきなりどうしたんだよ藤ねぇ」と返すのもまた、家主の義務である。
「いやほら昨日は朝寝坊しちゃってご飯食べられなかったじゃない!あの焼いてない食パンを齧りながら過ごす朝……あー思い出すだけで寒気が……」
藤ねぇは自分ががさつであることを言いふらすように、聞き捨てならない台詞の数々をマシンガントークで浴びせかけてくる。
慣れてはいるものの、やはり呆れるというか、げんなりするというか、パンくらい焼いて食えよ。頼むから。
「パンぐらい焼いて食べてくださいよ、藤村先生。それと食事中は静かに」
我が家の最強生物がギャーギャーとうるさい虎に耐え切れなくなったのか、オレの気持ちを綺麗に代弁して横槍を入れてくれる。
さすがの藤ねぇもこの人にからまれるのは得策では無いと感じたのか、「ゴメン……」と呟くと静かになった。相変わらずこの人には勝てんのだろう。オレだって勝てない。
「全くです。朝の食事は一日の基礎たるもの。もっと落ち着いていただきましょう」
やかましい食卓を尻目に、セイバーがやれやれといった面持ちで言う。
うるせぇよニート。そう思うなら食費ぐらい入れてくれ。
「何やら『うるせぇよニート』という声が聞こえた気が……」
「え?そんなことないさ。ほら、ご飯のおかわりは?するだろ?」
「これはこれは、気が利きますね士郎。お願いします」
無意識に口に出ていたのだろうか?一瞬背筋がひやりと冷たくなった。
いや、このニート王ならオレの心くらいは読んでそうだ。全くもって恐ろしい限りである。
「まったく・・・士郎も藤村先生の教育ぐらいしっかりしてよね!」
朝は不機嫌な遠坂が、藤ねぇへの絡みでは物足りぬという風、ハシをビシッ!とオレの鼻先に突きつけて最強生物が叫んだ。
自慢のツインテールがふぁさりと揺れ、何やらいい臭いがする。
思わずファンシーな世界にトリップしそうになるが、しかしそんなことで我を失うようではこの家ではやっていけない。
ここは冷静に「ハシは人に向けるものではありませんよ!」と返すぐらいではなくては。
けどまぁ、オレはそんなこと言えないヘタレなわけで
「以後気をつけるよ……遠坂」
こんな、お茶を濁す程度の返事が限界だった。
こういう時、今は弓道部の臨時早朝練習でいない我が家の最強生物2がいたらいいのに
と、つくづく思う。きっと、「遠坂先輩!衛宮先輩にハシをむけないでくださいよ!!それと藤村先生のしつけは衛宮先輩の仕事じゃありません!」くらいのことは言ってくれるだろう。
そんな彼女の使い魔は今、徹夜で読書をしていたためかまだ部屋でぐっすりと寝ているけれど。

「んじゃ、行ってきます」
「いってらっしゃい士郎」
今日も、ショベルカーのように朝飯を平らげたセイバーが玄関に見送りにきていた。
藤ねぇと遠坂は、両方とも急ぎの用があるからと先に出て行った。
嵐のように現れ、嵐のように去っていく。藤ねぇはもう少しおしとやかになって欲しい。
はぁ~っとため息をついた後、ふと思い出したことを口にする。
「昼飯は台所に置いてあるから、温めてライダーと一緒に食ってくれ」
今日は昼に帰って来れそうもないから、もう昼飯は用意しておいた。弁当の残り物をすこしアレンジしただけの質素なものだけど、セイバーは喜んで食べてくれる。
「わかりました。あのぐうたらが起きてくればですが……」
王様、最強のぐうたらはあなたですよ。彼女は仕事してます。
「今なにか……」
「そ……それじゃいってきまーす!」
またもや不思議読心術を発動したセイバーから、逃げるようにして家を出る。
何やら刺さるように痛い視線を背中に受けるけども、気のせいだろう。気のせいのはず。

「今日から夏休みか」
通学路にある横断歩道を渡りながら、一人空を仰いで呟く。
正確には明日からだか、まぁ終業式の日なんて休みといっしょだろう。
ただ自分は、今日弓道部のようすを見に来てくれと綾子から言われている。だから昼飯は道場でいただくことになった。
夏の大会も近いし、自分が手伝えることがあったら、何でもしてあげたい気分だ。
横断歩道を渡り終え、空を仰いだまま立ち止まり、ふと掲げた掌から太陽を透き通らせる。
指の隙間からは、境界線のない青い青い空が、オレのことを見下ろしていた。
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2008.03.12(Wed)

超久しぶり更新 

なんか超久しぶりの更新です

自分でも半分忘れてましたよこのブログのこと

まぁせっかく思い出したことだし、当分はちょこちょこ更新しようかと思います

とりあえず最近見たニュース

アキバブログ:はてなようせい同人誌発売!
http://www.akibablog.net/archives/2008/03/hatena-080311.html

チャレンジが性的に見られる日が来るとは・・・

色々恐ろしい国だなー日本って

さて、それじゃあイリヤの同人誌でも探すか
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